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いつもとなりで

第1章 いつもとなりで

 休日終わりの月曜日。久しぶりの学校だ。そして朝学活のこと。いつものように桜先生が教室に入ってくる。

「今日は転入生を紹介します」

 桜先生の突然の一言。

「えっ? どんな子?」

 教室が騒がしくなる。

「では、入ってきてもらいます。どうぞ!」

 うわー可愛い。素直に思った。教室も騒がしくなる。

「わあぉっ!」

「かわええやん」

 とか言う声が聞こえてくる。

「木ノ倉(キノクラ)あゆで~す。よろしくねっ」

 目をぱっちりあけて、にっこり笑って独特な鼻声で言った。うわーぶりっ子だぁー。

「では、川村くんの隣の席に座って下さい」

 桜先生がそう言うと龍平の隣に座った。

「龍平くぅん、よろしくね。えへっ」

「木ノ倉、よろしく!」

「あっ、あゆでいいよぉ」

 あゆの顔が赤くなる。どうやら龍平に一目惚れしたようだ。

「あぁ、わかった。あゆでいいんだな?」

 龍平がそう言うとまた、あゆの顔が赤くなる。マヌケな男子達は

「あゆちゃーん」

 とか呼んでいる。するとあゆは

「あんた達は、木ノ倉でいいからぁ」

 と言う。

「えぇーっ」

 とか男子のざわめきが聞こえる。もはや授業どころではない。桜先生はにっこり笑って「静かにしてね。授業したいから」

 と言った。するとみんなはマジックにでもかかったように静かになる。

 竜也と私はと言うと黙ってその姿を見ていた。二人だけ違う世界に行ってしまったかのように。そんな転入生を迎えた慌ただしい一日は終わった。

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