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ぜんぶ二人ではじめて

第4章 晃くんが分からない

職員室へ行くと、何人か先生がいて、みんなに丸聞こえだったって、ゲラゲラ笑ってた。

「市川、可愛いもんなー。モテまくりだなー。」

「本当、お人形みたいに可愛いわよね!」

やんややんや言われて……

悪い気はしないけど、

「私って可愛いの?」

まぁ、不細工ではないと思うけど……

泰宏くんに聞いてみた。

「オレに聞くなよ。」

真っ赤になって困ってる?!

職員室から教室に戻る……

休み時間になった。

「あ!七海ー!今度デートしてねー!」

「七海!愛してるよ!」

「七海ちゃん!可愛いよー!」

なんて、三年生たちに冷やかされながら階段をあがる。

いつものことだけどね。

もう慣れっこ。

笑顔で会釈して通り過ぎる。

通りすぎたあと、

「市川さん、いつもあぁいうこと言われるの?」

と、泰宏くん。

「うん。小等部のときから。事あるごとに…」

「なるほど!……茶化されてると思うわけね?」

「思うよ。また適当なこと言って……って。」

「それじゃ、自分が可愛いかどうか、判断できなくなるね。」

「ん?なにそれ?」

泰宏くんが何を言ってるのかよく分からなかった。

「俺が思うに、先輩方はみんな思いつきや嘘で言ってるんじゃないと思うよ?」

「そうなの?」

「あぁ。多分だけど、これで例えば俺が市川さんと手を繋いで男の存在をアピールして歩いたら、あっという間に噂になるだろうね。」

「え?なんで??」

「それだけ市川さんが周りから見られてるってことだよ。」

「んーーー?よく分かんないなー。」

「市川さんのことを可愛いと思ってる人がたくさんいるってことだよ。」

「えっ???」

そーゆーことなの?

「晃くんのことだって、明言はしてなかったけど、半分以上、告白と同じだよ?」

「えっ!?そうなの?」

「めちゃくちゃ鈍感だね!笑」

「うー……そーゆーのは直接、ちゃんと言ってくれないと……分からないよ。」

「そうだね。」

教室で、パソコンの準備をしながら話した。

まだまだ、私は私のことが分かってないんだな……

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