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薔薇寮の淫

第1章 それぞれの事情

・横尾side

ここは某男子学生寮―

普通に男同士の恋愛がまかり通る場所として名が知られていた。

だから気に入った奴を奪い合うなんてことは当たり前の如く行われている。

そこにルールなんてものはない。

手をつけたもん勝ち、欲しければ力づくでモノにしろ

相手がいようが、いまいがお構いなし。

そいつを無理矢理、モノにさえすれば奪うことができる。

そう、まるでバトルロワイヤルみたいなもん。

強いものが勝つ非情な世界

夜、妖しい視線が交差する中その開始のゴングはそれぞれの心の中で鳴り響く。

今日も俺はあいつを狙う、今夜こそ奪ってみせると。

受けになるか攻めになるかはときの運…

つまりは攻めの奴が襲われ受けになる場合もあるってことだ。

だが何故そうまでしてここにいる連中は、その行為に酔いしれるのか?

答えは簡単さ。

愛に飢えている、ただそれだけ。

この寮に入ってくる奴らは自分の意志で来るわけではない。

なんらかの理由で家族から見放されお払い箱になった連中ばかりなんだ。

みんな孤独を抱えている。

その心が狂気へと駆り立て肌の温もりと快感を求めて暴走させてしまう。

寂しいんだ…

でも初めてここへ来た大抵の奴は、その状況に戸惑い

必死で逃れようとあがないまくる。

当たり前だよな、フッ!

しかし、そんなのは無駄ってもん。

気がつけば自分も同じ穴のムジナ。

一度知ってしまった禁断の世界から、抜け出すことは出来ないのだから。





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