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薔薇寮の淫

第11章 希望という名の下で

・北山side

北「太…輔?ゴロン」



が、次の瞬間、転がり落ちドテッ!



北「いってぇーんっ?太輔太輔えぇ」



ドタドタ!



藤「どうした!」

北「落ちた…」

藤「はっ?」

北「太輔がいないからベットから落ちたんだ、うっ」

藤「へっ?ぷっ、くくくっあはははっ」

北「笑うな」



ギュッ!



藤「ひろ?」

北「笑うなバカ、クッ」

藤「ごめん」



チュッ!



北「んっ」

藤「ほらメシでも食おう」

北「もうできてんのか?」

藤「朝食なんて簡単だろ」

北「んだな」

藤「んっ?」



また作れなかった。

朝が弱い俺、でもこいつが目を覚ます前に。

いつも思うんだけど。



藤「気にすんな」

北「…‥っ」

藤「ご飯なんて、出来る方がやりゃいいんだ」

北「けど俺は」

藤「だったら夕飯を作ればいいじゃん ニコッ」

北「どんなのが出来ても、文句を言わね」

藤「あぁ」

北「不味くてもか」

藤「メインディッシュ食うからいい」

北「???」

藤「北山宏光っていう」

北「ばっ、バカ俺は」



ドサッ!



北「あっ、朝はダメだ遅刻しちゃう、あっ、太輔」



藤ヶ谷は優しい。



北「あぁ、んっはっ、あっいい」



すっげー俺を、大切にしてくれる。

その腕の中に抱かれるたび幸せすぎて堪らなくなるんだ。

横尾さん、元気か?

お前も俺と同じようにいま飯田の温もりに包まれているんだろうな。

あの日―

あいつに抱きしめられ流したお前の涙は。

陽の光りでキラキラと輝いていた。

だから分かるんだわ。

これで恩を返すことができたって。

俺も心底嬉しかったからよ

後日、ポストに入っていた1枚の葉書には満面の笑顔の横尾さんと。

“ありがとう”の一文字があった。

横尾さん…

あそこでの日々があったからこそ今の俺たちがいる。

出会えたことに感謝し…

俺らはこれからも前へ進んで行くだろう。

けして妥協はせず、培った絆を宝物として。



藤「行こうぜ、ひろ ニコッ」

北「おう」



呼ばれて振り返れば満面の笑顔の太輔がそこにいた。

昔と変わらぬ笑みで―

その手をしっかりと握りしめ一歩また一歩と歩き出していく。

二度とこの手を離すまいと心に誓い。





終わり―
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