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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚







「うつっちゃ…う…よ…」


意識が朦朧とする陶酔に身を漂わせながら、アタシは渚くんを見上げてそんな訴えを起こす。


「渚くんに…風邪、うつっちゃ…」

「あぁ…こんな時に今更そんな心配か?」


すると、そんなことはまるで端から気にしていないかのように余裕の表情で笑って見せる彼。

しかもあろうことか…


「いいよ…うつせよ」


え…


「お前の風邪なら喜んでうつされてやるから…」


…だなんて、それはもう優しい声で、


「じゃないと千隼を抱き枕にできないオレが困る」

「ッ…」


そんなこと言われたら困るのはアタシの方なのに…


「…それともお前はオレをひとりで寝せる気か?」

「…‼」


あ…

あぁ…

さっきまでアタシを得意な意地悪発言で翻弄してたくせに…

この時…

そこからまったくかけ離れた、不意に見せられた彼のその優しい極上の笑みに、アタシはもう…なにも敵わないんだと思い知らされた。


「千隼…」


すると額をコツンとアタシにつけた渚くんが頬を撫で、耳元にそっと囁き口づける。


「治せ…」

「…ッ」

「風邪なんてオレにうつして、さっさと治しちまえよ…」


彼の酷く甘い、痺れるような声がアタシの熱をまたあげる。

だけど、


「やり方なんて…わかんない、よ…」


その方法を考えるのは今のアタシには到底無理で……

でもきっとそんな心配はいらなくて。

だって…ほら…

彼が…


「──やり方なら、オレが教えてやる…」

「ンン…ッ─」


教えてくれるから……。




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