今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚
「はぁ…こんなことを他の誰にも頼めないのはお前も知っているだろうに。お前しかいないんだよ、明智……」
「社…長……」
そう渚が顔をあげれば、明智を真っ直ぐ見つめる彼の表情は真剣そのものでどこか切なく揺れていた。滅多にないその様は何よりも真っ先に鬼のなかの良心を瞬く間に動揺でめちゃくちゃにする。
無論、それは明智の頑なな忠誠心を逆手にとった魔王の策略のひとつにすぎないのだが…
しかし、常日頃から心から慕う渚のそんな顔を見せられてしまえば、鬼と化していた明智のハートは恋する乙女の如くキュンとなってしまうのは至極当然のこと。
しかもそんな嘆かわしい声まで聞かされたとなれば、仕える主に一瞬でも噛みついてしまったことによる罪悪感が瞬く間に彼の心中を支配する。
"あぁ…私はなんて愚かな人間なんだろうか"…
"親愛なるお方になんてことを言ってしまったのだろうか…"
そんなテロップが明智の心中に大量に流れまくり、挙げ句の果てには、どうしようもない後悔に…
"いっそ私なんてこのまま東京湾の藻屑に…"
「…ならんでいいわ」
「っう!!!!!」
そこで渚から飛んできた分厚い書類の束での一撃で明智はハッと我に返った。
「………それ、聞こえていいやつ?」
「───っ!!!」
そんな渚の呆れ声と冷めた笑みに真っ青になる明智。
しかし…