今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第15章 ☆New☆ちーちゃんの夏休みⅦ♡
すると、
「…いいよ。ホントはよくないけど、今日は怒んない」
軽く息を吐きだした葵くんがそっと抱き寄せて、さらには頭をポンポンとしてくれる。その大好きな仕草と、途端包まれる彼特有の爽やかな匂いにキューっと狭くなりまくるアタシの胸。
「ま、オレもさ、他人のこととやかく言える立場じゃないけど。聖もちょっとやそっと無茶してでもどれだけ此処についてきたかったんだ、って話でさ…」
そのまま葵くんはアタシの髪をゆっくりとリズムを刻むように撫でながら話す。
「聖はさ…オレのコトよく器用だっていうけど、もっぱらそれは聖の方でさ。負けず嫌いで、こう見えて実は隠れて努力家だったり…。
跡取りのワガママなひとりっ子、筋金入りのお坊っちゃま育ち。だいぶ性格もひん曲がってて、こんな天使みたいな顔して、やってることほぼ悪魔…とか、ときどきオレも可愛くないって思うとこもあるけどさ……」
「あはは…」
「…こんな姿見せられちゃうと、なーんかさ、憎めないよね」
葵くん…!?
「うん?」
あ…
穏やかな声に不思議そうに見上げれば、まるで自分の弟でも見つめるような彼の表情に出くわした。
「クスッ…あ、もしかしてオレがこんなこと言うの意外だって思ってる?」
「ううん、ただ…」
でもぜんぜん意外なんかじゃないよ。
だって、ときどき見かけるから…
「…なんかお兄ちゃんみたいだなって思って」
…葵くんのこんな顔。