今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚
お昼近くになると、ようやく続いていた長雨が止み、久し振りに目にした秋の高い青空に太陽が顔を見せた。
その眩しさに目を細めつつ、降り注ぐ陽の光りの心地よさに身を委ねれば何とも言い難い心地よさが全身を包み込む。
ネコちゃんは幸せだな…
日向ぼっこってこんな感じかな?などと呑気に太陽と戯れるネコの気分に浸っていたところに、
『フン…そんな顔するならオレが戻るまで誰にも攫われるなよ』
そう言い残して出掛けていった渚くんから電話があったのはついさっきのこと…
それがどんな内容だったかといえば、
『悪い。オレのデスクにある書類…ガヤガヤ…』
うん…聞こえない。
『今から明智(アケチ)が…ガヤガヤガヤ…』
うん、やっぱり聞こえない。
『………』
あ…切れた。
「………」
カジノの雑踏にかきけされてか、いまいち内容がよく把握できないまま彼の声は途切れしまう。
しかし、
『オレのデスクにある書類』
『今から明智が…』
聞き取れた僅かなフレーズから何となく彼の言わんとしていたことを予想することができたのが不幸中の幸いだった。
どうやら渚くんは自室のデスクにある書類を求めているらしい。
そして彼が口にした"明智"とは、社長である渚くんの補佐役でもある専務の明智さんのこと。
以前渚くんに紹介されて以来、何度かの面識はあるものの、これがまたとんでもない毒舌オトコだったりするわけで。