今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚
もちろん社長の渚くんには忠実で神対応なのに、なぜかアタシに対してだけは鬼対応ってあのオトコぉぉぉ‼
…って今はそんなのどうでもいい。
"今から"ってことは、そうだ。明智さんがそれを取りにくるんだ‼
そう理解するや否や、すぐさま渚くんの部屋に駆け込んだアタシ。
そして彼のデスクのうえに分かりやすく置かれたままになっていた書類の束を発見するなり、人の目と汚れから避けるためにと封筒に突っ込んだタイミングで玄関のチャイムが鳴る。
さすが、鬼の明智…
渚くんから連絡があったばかりだというのに、なんて速さなんだ。絶対にフライングしてるでしょ。
しかも、アタシが応対することを伝えられているのだろう。
っ、…だから!!
今出るから、そんなにチャイム連打しないでってば!!
「っ…ぜぃ、ぜぃ…」
渚くんの部屋から玄関へ猛ダッシュをした。レディに数十メートルある廊下を走らせるだなんて、重ね重ね鬼だと思う。
だけどこのままだとなんか悔しいから、無理矢理にも乱れた息を整えていかにもという涼しい顔で扉を開ける。
すると、
「…遅すぎる」
「……ぅ…」
扉が開くなり浴びせられる冷たいひと言…
「こっちは暇じゃないんだ。5秒で出ろ」
って、おい…
なんだかどこかの誰かと同じようなセリフを吐いてよこす黒スーツ。
近くにいるとやっぱり似るのかね…
じゃなくて、そこにいたのはもちろん株式会社S.R.Eのエリート・専務取締役の明智氏だった。