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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚







…部屋のなかに甘い匂いが充満する。

それから無事に暖かいルームウェアに着替えさせてもらって、彼の”なんでもきいてやる”に基づき、ホットミルクを入れてもらった。


「…なぁ、そのしっぽ…ゲホッ、ッ…邪魔じゃねぇ?」


マグカップの中身をスプーンでかき混ぜ冷ましてくれながら、それを待つアタシにそんなことを聞いてきた渚くん。

因みに彼が咽た原因は、とある甘党王子に伝授してもらった禁断のレシピを再現中につき、ミルクのなかに投入した恐ろしい量のメープルシロップのせいに違いない。


というか、選んで着せた張本人が今更なにを言い出すんだろうか。

どうやら彼はアタシに自ら袖を通したルームウェアのことを言っているらしい。

もこもこでフワフワのセットアップ。頭をすっぽり覆うフードには長い耳がはえていて、ショートパンツには可愛らしいしっぽがはえている。


「暖かいからいい。でも…」

「なんだよ、ウサギになった千隼チャン?」


カップを持ってベッドに腰を降ろした渚くんが、オシリにもこっ♡と存在するアタシのしっぽを面白そうにちょんっとつつく。


「…ウサギは寂しいと死んじゃうから、どこにも行かないでね…」 

「………」


…熱のせいだ。

面と向かってこんなこと言っちゃうのなんて、熱のせい…


それに…


「…飲ま、せて?」

「千隼……?」


こんなこと言っちゃうのも…


「アタシ…ひとりじゃそれ、飲めないから…」


こんなこと言っちゃうのも…


「渚くんにこのまま…飲ませて欲しい…」


…絶対、熱のせいだから……。




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