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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚






もうすべてを彼に委ねてしまいたくなって、そのまま自然と引き寄せられるようにアタシを抱きとめる胸元にぴったりと体重を預ける。


「…いい子だ」

「うん…」


…暖かい。

…いい香り。

とても安心するその腕のなかにいつまでもいたくなって、目を閉じて深く深呼吸をする。

すると肩にかかった髪を払った彼の指先が、背中にあるワンピースのファスナーに手をかけた。


「…もうちょっと、着てたかったな」

「ん…?」


それは渚くんが食事の前に選んでくれたシフォンとヴィンテージサテンのドレープワンピースだ。

彼の今日のスーツのグレーによく合った秋を感じさせる深みのあるボルドー。
とろみ感のある肌なじみの良い上質な生地に、胸元からのタックが後ろのアンダーバストまで流れるにつれ大きく陰影を生み出していくドレープがとても美しい一着だった。

あのときは、たまたまの偶然かと思ったけれど…

シックでエレガント、それでいて締め付けのないデザインは今日のアタシには着ていてとても楽なものだった。

今思えばこれも偶然なんかじゃなかったんだね…

唐突に胸がキューっと狭くなるを感じながら、ファスナーを滑らせる渚くんの胸元に甘えるように顔を埋める。


「これでデートはまた今度な…」


なんでこんなに優しいかな…


「楽しみはまた先にとっとく」


なんでこんなにカッコいいかな…


「…そしたらあのジュエリーショップ、お店ごと買ってね」

「………」


でもやっぱり基本はドS。

…真顔でデコピンが返ってきた。





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