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犬猿の仲良し

第22章 始動

-準備二日目

皆が汗水流しながら働いている中、俺は何もしていない。
昨日のあのハートがばれてしまったからだ。

あの後、赤を塗ったらとても見せてはいけないような色になってしまった。
それが見つかり、一緒に色を塗っていた人に「今日は何もしなくていいですよ」って言われた。

色塗りが全部終わったのかと思ったのだが、美術部が盛大に塗っている。
そして俺が塗ったハートのところは3人がかりで塗り直されていた。
間違えようのないハートの色が黒になったことで、さすがの美術部も警戒している。
紙がおかしいのか、ペンキがおかしいのか。
探り探りで塗っている。

これはどういうことか。
お前は手を付けるなって意味だったんだ。
おかしいのは俺でした。
敬語の上、引きつった笑顔で言われたときに気付くべきだった。
前に憧れ的存在と言われたが、それももういつの間にかなくなっているような。

とにかくやることがないっていうのは悲しいな。

そうだ。
力仕事しようかな。
健太のとこ行こう。

俺は椅子から立ち上がり、健太が居るであろう場所に向かった。

一瞬美術部がびくってなったのは気のせいだよな?
警戒しすぎだよ?
悲しいよ?

ー廊下

璃「健太ー」
健「璃玖!どうした?」

健太は腕をまくってタオルで汗を拭きながら俺の方を見た。
働き者だよなー、こいつ。
俺なんて汗の一つもペンキの一つも付いてないのに。

璃「暇だ。手伝う」
健「クビになったんだろ!だからやめとけって言ったんだよあんとき!」
璃「うるせぇな!俺も成長したと思ったんだよ!」
健「それはもう一生もんだから!治らないから!」
?「あの…」
健「ぎゃっ?!」
璃「お前うるせぇ」
?「璃玖さんと健太さんですか?」

健太の背後から、首からカメラをぶら下げた背の低い子が立っていた。

健「そうだけど…あれ?何で男子校に女子?」
璃「あ、昨日の」
?「昨日は本当にごめんなさい!怪我無いですか?」

蒼依だったっけか。

璃「全然大丈夫。そっちは?大丈夫?」
蒼「大丈夫です!あの、生徒会の仕事で、2人がミスミスターにエントリーされると聞いたので…写真撮らせて貰って良いですか?」
健「はーい。いいですよ」
璃「俺、去年のやつ盗撮だったのかな」
健「あー、去年は写真撮ってないよな。今年からなのか?」
蒼「はい!」
璃「まぁ写真ぐらいいいだろ」

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