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犬猿の仲良し

第12章 恋のきっかけ

ー洗面所

バシャバシャと顔全体を水で洗い、うがいをする。
俺は水を止め、顔をタオルで拭いてから洗面台の淵に手を置いた。

璃「っはぁ…」

何なんだよ。
本格的な嫌がらせか?
勘弁してくれ。

…つーかファーストキス?!
ちょ、待て。
ファーストキスが男?
しかも健太?
冗談じゃない。
大体こんなの無効だ。
そうだろ?
お互い好きじゃないし、恋人でもない。

俺は心が広い。
あいつの歯ブラシを間違えて使ってしまったこともある。
それと一緒だ。
これぐらい水に流してやろうじゃないか。
俺の心が落ち着き、気持ちが前向きになったところで顔を上げた。

璃「?!」

ガタガタッ

俺はびっくりしすぎて体勢を崩し、洗面所にあった道具などを倒してしまった。
だって…。
何で俺こんなに顔赤いんだよ!
顔を上げたときに鏡に映り込んだ自分にびっくりした。
手で頬を触ってみる。
あ、熱い。
何だこれ。
きも。
俺きも!
え、どういうこと?
意識してるって事?
だって意識してないと顔赤くならないだろ!

とりあえず落ち着こう。
冷静になれ俺。
キスなんかしたら誰でも照れるに決まってる。
同性同士でもだ。
同性同士?
そういえばあいつ好きなのは男だって…。
いやいや、だからといって俺じゃない。
でも冗談で男にキスなんか出来るか?あいつなら出来るか。
馬鹿だし。
される前に馬鹿ですみませんっつってたし。

…。

俺は熱を冷ますためもう一回顔を洗い、部屋へ戻った。

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