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犬猿の仲良し

第18章 思わぬ障害

?「やあああああああああああ」
璃「はっ?!」
?「璃玖?!」

ほうきを持っていきなりリビングから飛び出て来たその人は、俺の姿を見ると驚愕していた。
…母さんだ。

璃「何してんの…?」
母「馬鹿じゃないの?!ただいまぐらい言ってよね!!不審者かと思っちゃった」
璃「こっちの台詞だわ!え、仕事は?」

また夢?
いやでもリアル過ぎる。

母「ま、とりあえず落ち着きましょ!手洗ってリビングに来て」

璃「分かった…」

俺は自分の部屋に鞄を置き、手を洗ってからリビングに向かった。

母「はい、座って」

俺は母さんと向かい合わせの椅子に座った。

母「ごめんなさい!」
璃「え?」

いきなり頭を下げられた俺は動きが固まった。
まさか仕事無くなったとかじゃないよな?!

母「お母さん、璃玖に嘘吐いてたの!」
璃「はい…?」

見当もつかない。
長く会ってなかったし会話もなかったし、嘘なんて吐けたのか?

母「ほら、しばらく仕事が続いたじゃない?あれ、嘘なの」
璃「もっと分かりやすく言って欲しいんだけど」
母「私、仕事ばっかりでその…璃玖に嫌われてるかと思ってたのね?だから仕事ない日も無理矢理仕事入れて…璃玖に会わないようにしてたのよ」
璃「は…何だよそれ。俺が母さんの事嫌いになんてなるわけないだろ?!」
母「そんなの聞かないと分からないじゃない!だから…今聞けて本当に安心した。ごめんね、今まで」

涙目で語る母を見て、あぁ見たことない表情だ、と思った。
いつも強くて美人な母をずっと見てきたから、なんだか嬉しくなった。

璃「でも何でいきなり?」
母「私、男の友情には弱くてね」

母さんはにっと笑った。

璃「どういう…」

それから母さんは、何故突然帰ってこようと決心できたのかを話してくれた。

…繋がった。
そういう事だったのか。

璃「これからは帰ってきてくれるのか?」
母「それが…偶然にもまた仕事が入っちゃって。でも休みの日は絶対に帰ってくる。だから…行ってきなさいよ」
璃「…いってきます」

ありがとう。
涙が出そうになったのをぐっと堪え、俺は向かうべき場所へ向かった。

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