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Dream Kiss~それぞれのバレンタイン~

第10章 悲しき旋律~奏華編アンサー~

 ある日の放課後──

 俺は、あの日の別れの曲『悲しき旋律』を久々に弾いていた。

 弾き終わると拍手が聞こえてきた。

 振り返ると、黒髪で右目隠し。制服をきっちり着こなしていて、ベースを担いでいる。選択授業で音楽を選択しているもの静かな女の子。花宮奏華(ハナミヤ シンカ)がいた。

「え、あ……花宮か。どうした?」

 俺は聞く。

「ベースの……練習に。でも……邪魔みたいなので……帰ります……」

 どこか怯えたように花宮は答える。

「いや、邪魔じゃねぇよ。歓迎しよう。花宮のベースと俺のピアノでコラボしてみるか?」

 俺が提案する。

「はい……」

「適当に弾いて、合わすから」

 俺がそう言うと花宮は練習曲を弾き始めた。

 俺は、それにあわせて調整しながら弾く。

 2つ重なる旋律。ベースの重低音とピアノの透き通る音が重なり合う。花宮が歌を歌う。

 それから花宮と放課後、よくこうしてコラボをするようになる。

 個人発表はずば抜けて花宮は良かった。だからAをつけた。

 花宮と奏でる旋律がやけに心地よい。

 いつしか花宮に恋をした。この思いは俺以外、誰、一人知らない。

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