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リモーネ

第5章 ペチュニア



目の前の神崎先輩が深くため息をついたあと、

「うん。わかった。セナちゃん。漢字は暗記しよう。流石にこればっかりは考えてもわからない。」

と、どこからともなく方眼ノートをだす

「あんまりね、いっぱい書かせるのは俺自身が嫌だから嫌なんだけどね、これはあんまりだ。」

差し出されたノートを受け取り、開く。

「小テストでどうやってたのかは知らないけど、たぶんこのさらっピンな感じだとたぶんほぼやってないだろう。
そしてセナちゃんの国語担当教師の傾向として、漢字だけでも10点はある。最大30点だったときもある。
流石に30点あれば最悪の事態は避けることができる可能性が高い。
だから、テスト範囲の見開き10ページ、40個の漢字、それを使った200個の文章を手で覚えるんだ。
国語は初日だけど、今日から数えても一週間ある。
毎日見開き1ページ半ずつ覚えれば一週間以内に終わるし、復習もできる。」

嫌だ。でも、こんなに親身になってくれる神崎先輩を無下にはできない。

「…頑張ります」

そう言うと、さらににこっと微笑んだ先輩はそれで英単語だけど…と鞄に手を突っ込みながら話を続け、俺は、灰になりそうだった。

今日は中間テストまで丁度1週間となった火曜日。

放課後になった瞬間に現れたかえで、凪、神崎先輩は満面の笑みで俺を3年生の教室へ拉致していった。


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