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リモーネ

第8章 セッコク





「俺ね、セナちゃんに言ってないことがあるんだ。」

「なんですか」

午後からの部活に参加するため、ズタズタの体を引きずり、駅に向かうところで、ふと、かえでがそんな話をし始めた

「どっからはなそうかなぁ…とりあえず、俺は空風家の養子なんだけど…」

「ようし…」

「うん。いや、でもね、全く血のつながりがない訳じゃなくて、今のお母さんと血縁上のお母さんが姉妹でね。」

「あー?
いとこの家で育ってる感じですか?」

「!その発送はなかった。
まぁ、そういうことかな?」

「ほぉー
…それがいってないことですか?」

「ぁ…いや、これからが問題で…」

「はい。」

「おれ、さ、実の親に虐待、されてたんだ…」

「虐待、ですか。」

「うん。」

「それは…うん、そうですか。」

「うん…それでね、最初に引き取られた先で性的虐待を…」

「性的なほうになったんですか…」

「うん。」

「そうですか。」

「…ひかないの?俺のこと」

セナは心配そうな顔で、恐る恐る隣を歩く自分を見つめるかえでをしばらくじっと見てから口を開いた。

「俺は、どんな事があろうと、今のかえでが好きなので、今のかえでを作ったすべてが好きですよ。」

「んん゛っ!」

かえでは両手で自分の顔を覆う。

「どうしたんです?」

「いや、尊さに胸をうたれただけだよ…」

そこで丁度駅に着き、会話することもなく高架にある改札までエスカレーターで登り、地上にあるホームまでエスカレーターで降りる。


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