
リモーネ
第8章 セッコク
正直、かえでの話したことが本当なのか嘘なのか、わからなかった。
虐待なんて、体験したことないし、まさかこんなに身近な人がそんな被害にあっているとはおもってもみなかった。
かえでが、ひかないの?といったが、ひく、ひかない以前の問題で、キャパオーバーだ。
「ついでに、恋人遍歴も話していい?」
「現恋人としてはあまり嬉しくないですが、かえでが望むならば。」
「ま、そんなこと言っても一人だけだよ。セナちゃん以外には。」
―以外です。という言葉を出るすんでのところで飲み込み、静かに頷く
「…最初に引き取られた方の男のせいなんだけどね。」
「あ、男だったんですか」
「うん。男だった。それがすべての始まり。」
「はぁ」
「まぁ、とりあえず、さっきちょっと話した通りの扱いを受けてた訳なんだけど、」
今日は日曜日、思っていたよりも回りに家族連れやそれだけでなく外出する人が多く、道を歩いてきたときよりも控えめな声で、表現で話す。
それを裏付けるようにホームと改札をつなぐ昇降口からどんどん離れて人が少ない乗り口を求めるように歩く。
