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リモーネ

第4章 ツルバラ

びくびくとしながら神崎先輩について道場裏にいくと、そこには俺と同じくビクビクとした様子の凪がいた。

神崎先輩はなぜここに凪が?と思って更に焦っている俺を凪の前にたたせた。

「…さぁ、まずは竜胆星那くん。
二人はどんな関係なのかな?」

「い、一樹、な、んで?
怒ってる…の?」

凪が怯えた様子で神崎先輩に問いかけると神崎先輩は凪ににっこりと微笑みかけて、

「小松凪君には聞いてないよ?」

と恐ろしい笑顔で答えた。

そのため、凪は口をきゅっと結んで半泣きになってしまった。

「…えっと、友達です。」

凪が半泣きになったあと、神崎先輩がこちらを向き直る前に答えた。

「…友達。」

神崎先輩は確認するように俺の言葉を復唱しながらこちらを向いた。

その顔はいくらか恐ろしさが減っているような気がしたが、やはり恐ろしかった。

「えっと、くま助をきっかけに知り合ったんですけど、すっかり意気投合して、そのまま昼ごはんも一緒に食べました。」

俺は神崎先輩の怖さに耐えつつ答える。


「…くま助。

…セナちゃんもなんだね…。」

…?

俺は神崎先輩のセナちゃん呼びの復活と、顔を左手で覆う動作とくま助が俺もと言う言葉に疑問を感じる。

「そ、そう!セナも!!

俺と一緒!

いい友達!!」

…凪がカタコトなのはおいといて、

神崎先輩が凪に熱い抱擁をする。

そして、信じられなくてごめん何て言いながらみつめあう。

…俺、どうしたらいいの。

「ゃーん…セナちゃーん」

その時、神の囁きが聴こえた。

声のした方をばっと勢いよく振り返ると、そこにはかえで先輩がいた。

かえで先輩は手でこっち!と示しているようだ。

俺はもう、ここにいる必要も精神力も無いと感じ、かえで先輩の方へ駆け寄った。

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