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僕らはずっと…

第7章 ごめん


しばらくしてから父さんが来た。



正直俺はそれには驚いた。

父さんは来ないと思っていた。

父さんは仕事を休んだりすることはないから。俺達のためにも一生懸命働いているのを知ってるし、何よりまじめなんだ。



だから学校の先生とかが迎えに来てくれるのかと思っていた。



でも、父さんは来てくれた。息を切らして走ってきて俺達を抱きしめてくれた。


それだけで何故か安心することが出来た。

もう、大丈夫だって。










今は父さんの車の中にいる。

俺は春と2人、後部座席に乗った。

春は泣きつかれたのか、俺の膝の上で寝てる。








「柊、大丈夫か。」



父さんが、春を起こさないように小さな声で聞いてきた。




「なんで、俺を心配するの?

辛いのは春なのに。」






「柊も辛そうだからだ。」



その言葉に俺はまた驚く。俺が辛い?そんなことない。だって一番辛くて怖い思いをしたのは春だ。



俺はそれに気づけなくて、何も出来なかった。何もしてない。





「辛くないよ。」


俺は答える。でも何でだろ、涙が出そうだ。おかしい。




「そうか…。


お前は悪くないからな。春をありがとう。」











…なんで。なんで俺にありがとうなんて言うんだ。




守れなかったのに。春を。俺にとって一番大事な春を、守れなかったのに。




涙がこぼれる。






止まれ。止まれよ。




俺が泣いていいことじゃない。





止まれ。






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