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僕らはずっと…

第11章 好き



春が驚いたように俺から離れる。春の目はまんまるになっていた。




「春、俺にそばにいて欲しいんでしょ?」




「うん。」





「俺がほかの人のものになるのいや?」




「いや!」



春がハッキリと答える。なんだかいつもの春の調子だ。




「春、俺のこと好きでしょ?」




サラッと本題を聞いてみる。





「うん。好きだよ。でも、でもこの好きは家族としてでしょ?」





春が不思議そうに俺に聴いてくる。





「じゃあ俺が他の子と付き合ってもいいの?」




「いや!!」



春が手を握りしめてハッキリと言う。



「なんで?」



「え、だって、ほかの人と付き合ったら柊そばにいてくれなくなっちゃう。」





「ん?いるよ?家にはずっといるし。登下校だって一緒にする。それでもいや?」



春が悩んだように考える。




「…い、いやだよ。だって。なんかモヤモヤするもん。ここら辺。」




そう言って春が自分の胸のあたりに手を当てる。








「春…。その気持ち。俺のこと好きだって気持ちにしてよ。」






「え?」




「その分かんないモヤモヤ全部好きって気持ちにして?」




春が目をパチパチする。


頭が混乱するのだろうか。




「そばにいて欲しくて、いなくなっちゃいやで、ほかの人と付き合って欲しくないとか、


好きと何が違うの?」





俺はからかうように春に聞く。





「え、え。私、柊のこと好きだったのかな?ずっと?」



春が首をかしげる。




「これが好きっていう気持ちなの?」




春が俺の目を見て聞いてくる。


俺はただ春の目を見てほほえんで、頭を撫でる。





「柊!嬉しい。」





春が涙をこぼした。俺の首に腕を回し抱きついてくる。


なんて不器用なんだろう。


自分の好きっていう気持ちにも気づかないなんて。

でも、それもなんか春らしくてすきだなぁ。なんて思ったりして。













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