僕らはずっと…
第11章 好き
「春。俺は春以外の人を好きになったりしないよ。」
春の目が揺れる。
春。ずっと不安だった?怖かったの?
春は母さんが死んでから一人になるのを怖がるようになった。
突然誰かがいなくなってしまうことを恐れるみたいに。
今もそうなの?
俺は春の目を見つめる。
「春…。俺が好きなのは春だけだよ。
だから、お願い。
ほかのヤツを好きになれとか言わないでよ。」
思わず涙がこぼれ落ちる。
春の目からも再び涙が溢れ出した。
「柊っ。ごめんなさい。」
春が両手で顔を抑えて下を向く。そんな春の頭を、いいよ。という気持ちが伝わるように優しくなでる。
1度出てきてしまった涙は止まらなくて自分の顔を左手で拭う。
「しゅう。」
「ん?」
春が話だした。
「私ね、ごめんなさい。柊が告白されてるとこを見たの。そしたらすごくモヤモヤして、どうしてもそこにいれなくて逃げちゃったの。」
「…そうだったんだ。」
「私、柊が告白されてるの見た時、嫌だって思ったの。そんなこと思う資格ないのに。」
春が顔を上げる。
春の目にはまだ大粒の涙がたまってる。
「柊ごめんね。ごめんなさい。ホントは花山さんと付き合えとか思ってない。
ホントは全部逆なの。
柊にそばにいて欲しい。ずっと柊のそばにいたいの……。」
春が話してくれた。
春の気持ち。
俺は春を優しく抱きしめた。
春の背中を撫でると、春も俺に抱きついてきた。
「春。話してくれてありがとう。
でも、春それさ…。
俺のこと好きなんじゃ、ないの?」
「……え?」