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琉依短編集

第5章 one night love story~隣の音楽少女~

 ピンポーン……。

 考えているとふいにエレベーターが、ここ十階に止まった。もしも……男なら泊めて貰おうなんて安易に考える。しかし俺の前を通ったのは女だ。座り込んだ俺の目の前を通ったのは、ヒールのついたブーツだったから。

「お兄さん、どうした?」

 俺は、ハスキーな声を上から降りかけられたため、上を見上げる。そこには、青髪で襟足だけ赤……耳ピアス2つずつ、口ピアス2つ……赤色のカラコン。パンキッシュな女の人が立っていた。

「ポカーンとしてどうした? あたしの顔に何かついてっか?」

「いっ……いえっ。すみません」

 女の子の言葉に俺はとっさに言う。

「で、家の前なんかにいてどうした? 奥さんにでも追い出されたか?」

「違う……姉と住んでるけど、姉が旅行でいないから入れないんだよな……鍵、家で」

 サラリと言った女にすかさずそう返した。何で俺は、たいして知りもしない女に言ってんだか……。

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