一緒がいい。
第1章 素直になりたくて【O×N】
「ん…もう朝…」
目が覚めると窓からは朝日が差し込んでいた。
ベッドはきちんともとに戻っていて、俺の体もきれい拭かれていた。昨日のことは夢なのか…何て思ったのもつかの間。体に感じる倦怠感が昨夜の情事を思い出させる。
覚醒した意識のなかで背中に感じる体温がすごくいとおしい。
智の方を向くとまだ起きる気配は感じられなかった。
可愛い寝顔。ほどよく長いまつげに、ふわふわした髪の毛。これじゃ、どっちが女役でもおかしくないな、何て思うのが最近の俺の中でのブーム。
俺が抱かせてほしい。といったら、智はどう思うんだろう。
なんてね。いつか機会があれば言ってみようかな。
今は、このままでいい。
もう一度寝ようと思ったけど、寝れそうにない。
「さとしー、起きようよー」
ほっぺたを指で突っつきながら智の安眠を妨害する。
「さとしー」
「なに?」
「え、起きてたの?」
「和と同じぐらいのタイミングじゃない?」
「そっか」
智が起き上がるのに俺も続く。
「体、大丈夫?」
「んー、やっぱちょっとだるいよね」
「風呂はどうする?」
寝る前に湯は張っといたと言う。
「智、一緒に入って洗ってよ」
この倦怠感をまだ感じていたい。愛された証をまだ味わっていたい。
「もちろん、やらせていただきますとも」
こんな風に、俺のわがままを嫌な顔ひとつせず聞いてくれる智。
智にいわゆるお姫様だっこなるものをされて、俺は風呂に連れていかれる。
下から見るいとおしい人の穏やかな顔。
その顔に免じて今日は、俺がちょっと素直になってあげる。
自分から触れるだけのキスをして驚いた智にとびきりの笑顔で…
「智、」
「ん?」
「大好き」
End