テキストサイズ

一緒がいい。

第1章 素直になりたくて【O×N】



「さとぉー、もっとちょーらい」

「さすがに、飲みすぎだよ。もうやめときなって」

「やーらぁー!!もっとのむの!」

どうしてこうなったのか。ずっと一緒に飲んでいた俺にもわからない。確かに、ピッチはいつもよりはやかったけど、和がここまで酔ったことは長い付き合いの中で聞いたことすらない。幸いなのは、ここが店じゃなくて俺んちだってこと。

「もぅ、かってにもってくるかぁねぇー」

「あ、ちょ、和!!」

勢いよく立ち上がって酒を取りに行こうとするけど、酔いがまわってるせいでまともに歩くことはもちろん、立つことも出来ないようで座り込んでしまう。

「ほら、もうフラフラじゃん。今日はもうおしまい」

やーあー!と抵抗する和。
さすがにここまでとなると、こうなった原因を聞き出すしかないかな。けど、攻略相手が和となると、いくら親密な関係にあるからっていってもな…。ぐるぐる考えていると突然、和の顔が目の前に現れた。

「さぁと。ちゅーしよ♪」

「え?」

考える暇もなく、熱を帯びた和の唇が俺の唇に押し当てられる。

「へへっ、ちゅーしちゃった♪」

一瞬のことでなんだかよくわからなかったけど、唇に残ったアルコールがやけにリアルで。

よく考えたら、最後にキスしたのはいつだったか、二人きりで会ったのはいつだったか。俺の記憶が確かなら、1ヶ月…もしくはそれ以上、そういうこと…恋人らしいことをしていないわけである。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ