今日も明日も
第23章 理由はいらない
「いらっしゃいませ、こんにちわ!ご注文どうぞ?」
マイク越しに、注文を聞きながら
POSに手早く打ち込んで行く
モニターに注文品が次々と表示されて
後ろのレーンのクルー達が
連携作業で作り上げ
俺はお客様に合計金額と、車を前に進めるように誘導しながら
ドリンクやストローとかのサイドメニューを用意
「お待たせ致しました!気を付けてお持ちください」
…100%の営業スマイルで
商品を手渡そうと、ここで初めてお客様の顔を見て
ズッキューン!!
「あ、はい」
って受け取ろうとしたその人に
目が釘付けになった
「あの、?」
固まって、商品を渡そうとしない俺に
訝しげに首を傾げる、その人
「あ、し、失礼しました!」
ハッとして、慌ててそれを渡してから
「ありがとうございました!」
見えるギリギリの深さまで、頭を下げた
「どうも」
俺に、不思議そうな顔をしながらも
その人はペコリとお辞儀して
ブレーキから足を離すと
するりと、俺の前からいなくなった