今日も明日も
第23章 理由はいらない
何、今の
すっごく可愛くなかった?
ちょっと唇尖らせて
中性的な顔してて
お金を受け取る手なんて、女の子みたいに丸くて
また来てくれないかな
もう一度、顔見たいな、なんて思っちゃって
あー…
これが所謂、一目惚れってやつか
「おい、何ボケっとしてんだよ」
肩を叩かれて、思わずビクッとなった
振り向いたら
同じマネージャー仲間の潤が
ニヤニヤして笑っている
「え、あ、何でもない、ごめん」
「さっきの客?」
あっさり見抜かれてた
「うん。可愛かったー」
「マジで?…って、男じゃなかったっけ?」
最初のやり取りの部分を聞いていた潤が
その「声」を思い出したのか
確かめるように俺を見た
「あ…そっか、そうだよね」
おかしいなぁ
俺は普通に女の子が好きなはず
なのに、さっきは
顔を見た瞬間、そんな事消え去ってた
「何、雅紀ってソッチの人だった?」
潤の、ニヤニヤが深くなる
「いや、それはない…はず」