テキストサイズ

今日も明日も

第29章 幸せになりたい




やたらと人恋しい夜

さっきまで仕事とは言え一緒にいたのに

会いたくて堪らなくなった


何度もスマホからその人の名前を表示させて

タップしようとしては、その手を止める


しばらく繰り返して、いざタップしてみたら


『留守番電話サービスに接続します…』


…無機質な、女性のアナウンス



何でだよ

何で繋がらないの?



そんなの

…別におかしい事じゃないのに

あの後、もう1本仕事があるって言ってたから
電源を切っていても当たり前なのに


やたらとその無機質な声が、頭にこびりついて離れない


どうして?


こんな事で泣きたくなるなんてどうかしてる

自分でもおかしいって分かってる


それなのに


会いたくて

声を聞きたくて

この腕に抱き締めたくて

ぬくもりを感じたくて



「…っ」

だけど、留守電にメッセージを残す事が出来なかった

何て言って良いのか分からなかった


何だか今の俺


世界一、惨めな気がする


ストーリーメニュー

TOPTOPへ