今日も明日も
第29章 幸せになりたい
だって、もう
日付が変わってからだいぶ経ってる
『まあね…でも電源入れたら、着歴があったから…』
え?
電源オフだから入ってないんじゃないの?
留守電にも、何も入れてないのに
そんな俺の動揺が分かったのか、向こう側でクスクス笑っている
『俺の電話、オフにしてても…ボイスのとこに着歴入るんだよ』
簡単なからくりに、思わず溜め息が出た
「あ…そうなんだ」
それしか返す言葉が見つからない
『…で、何かあったの?』
「え?」
『だって、電話くれたから…』
俺が電話を掛けたのは
…ただ、人恋しかったから
そんな、本当の理由なんて言えないよ
何バカな事言ってるんだって、笑われるのがオチじゃんか
「あ…間違い、だよ。それ…」
咄嗟に付いた嘘
俺の声は、平静を保ててる?
いつも通りに、言えてる?
勘が鋭いから、少しの違いも気付かれてしまうんだから
『本当に…?』
訝しげな様子
ここで怯んだら、バレてしまう
「うん、ごめんね」