今日も明日も
第30章 理由はいらない 3rd
二宮さんは、その施設に向かう途中で
簡単に話をしてくれた
両親が共働きで忙しくて、殆どおばあちゃんと過ごしていた事
そのおばあちゃんが、二宮さんが高校生になった頃から認知症になって
徘徊や、不穏行動で近所に迷惑を掛けてしまった事
なかなか施設が見つからなくて
…やっと見つかった時には、二宮さんを「孫」だと言うことも分からなくなっていた事
施設に預けた後は、高校卒業と同時に
逃げるようにこっちに来た事
「そっか…」
俺には、それしか言えなかったけど
ずっと心に引っ掛かっていたものを吐き出せたらしい二宮さんの顔を見たら
少しは俺も、役に立った…んだよね
「重い話でしょ」
“すいません“ なんて言うから
「二宮さん…っ」
信号で止まったと同時に思わず手を握ってしまった
「あ、…相葉、さん?」
二宮さんが、驚いたように振り返る
「俺に出来る事なら、何でもするから
…頼ってください」