今日も明日も
第30章 理由はいらない 3rd
気の利いた言葉は出ないけど
二宮さんが笑ってくれるなら、何だってしてあげたい
多分、一目惚れした時から
…例え想いが届いてなくても、その気持ちは変わらなかったと思う
握られた手を、振り払おうとはしない二宮さんは
それこそりんごみたいに真っ赤になっていて
…シートベルトをしてなかったら、絶対抱き締めてた
「ありがとう…嬉しい」
小さな声だけど、はっきりと聞こえたから
俺の顔面は完全に崩壊
潤が見たら、絶対ドン引きするくらい
…デレてる自覚、あり
パーッとけたたましいクラクションで、我に返った
青なのに進まない俺に向かっての、抗議
「あ、やべっ」
急いでブレーキを離し、後続車に “ごめんなさい“ のハザードを2回焚く
その俺の様子に二宮さんが吹き出した
…あまりの慌てっぷりは、自分でも思い出したらおかしくて
しばらくの間、二人共笑いが止まらなかった