今日も明日も
第31章 夏の夜空に
「案外バレないもんだねぇ…」
相葉さんは、どことなく嬉しそうに
買ったばかりのたこ焼きをハフハフ言いながら口に運んだ
座っている石段には、飲みかけの生ビールのカップ
俺もその隣で
「コソコソしなきゃ、いけるんだねぇ」
なんて言いながら、相葉さんの膝の上にあるたこ焼きに手を伸ばしながら
相葉さんのビールを奪い取って、喉に流し込んだ
「あ!それ俺の!」
咎めるように、ちょっと大きな声
「もう、飲んじゃった」
揶揄うように、わざとらしくカップを逆さにして見せると
「もー…楽しみにしてたのにー」
相葉さんが、ぶーたれたように唇を尖らせた
「また買えばいいでしょうよ」
「動くの面倒くさい」
今度はやけ食いに走ったのか
たこ焼きを一気に口の中に放り込み……
「あひっ!」
思いの外熱かったたこ焼きに、相葉さんの顔が歪んだ
溢さないように、両手で口を抑え
冷ますように忙しなく口を動かしている
「なぁにやってんのよ…」
その様子に、思わず苦笑いしながら
見えないとこに隠し持っていた自分のビールを差し出した