今日も明日も
第31章 夏の夜空に
半ば無理矢理飲み込んだ相葉さんは、
熱さからか涙目になりながらも、差し出されたビールを見ると
「え、何で」
「だって俺、まだ飲んでないもん」
そう言った瞬間、相葉さんは俺の手からそれを奪い取って勢い良く飲み干した
「あー…全部飲んじゃったの?」
俺の声が、恨めしそうになっているのは自覚してたけど
さっきのお返し、とでも言うように
相葉さんがニヤリと笑って、カップを逆さにして見せた
「また買いに行く?」
せっかくのお祭りだし、まだ楽しみたい気持ちもある
だけど、今食べたたこ焼き以外にも俺達の前には食べ物がまだビニールに入ったまま幾つもあって
「さっき、面倒くさいって言ってたでしょ
…俺も面倒くさいよ、買いに行くの」
…そう、一度座ってしまうと人混みに入るのが二人とも億劫になっていて
「…でも、もうちょっと飲みたいよねぇ」
その空気を壊したのは、相葉さんだった
最初に面倒くさいって言ったくせに、切り替えが早いのはいつもの事
さっきのウダウダは何だったんだって位に、素早く立ち上がった
「じゃあ、買って来てよ、…ここにいるから」