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第39章  再録・ ミニ短編


後ろから聞こえてきた足音

最初は気にもしてなかったけど
途中から
…俺の歩幅に合わせてる事と、止まると後ろの足音も消える事、どれだけ速度を緩めても
一向に縮まらない距離

ちょっと気味悪さを覚えて、俺はいきなり走り出した
「あ!」って声が聞こえた気がしたけど、そんなのは気にせずに、一気に角を曲がる

案の定、後ろから走ってくる足音

俺は曲がってすぐの電柱にピタッとくっついて
その足音の主を待った

やがて、足音が間近になり
さっきの角を曲がって、…俺に気付かずに前を走り去ろうとした
その足音の主に

「…ばーか」
腕を組みながら、言ってやった

「えっ、あ、にの!?」
その声に慌てて止まり、驚いた顔をしている

「それで後をつけてたつもり?」
呆れ顔で、そいつを少しだけ見上げた

「んー…つけたってより、サスペンスを狙ったんだけど」
ー…後ろからついてくる足音に恐怖を感じるってやつ?

なんて笑いながら、俺にくっついて来ると

「…何で俺だって分かったの?」
不思議そうに、俺を見つめた

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