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今日も明日も

第39章  再録・ ミニ短編



何度見ても、付く気配のない既読に溜め息を吐いて前を向いた時

リュックを頭に載せて走ってくる、かずが見えた

慌てて傘を持って車から飛び降りる

「かず!」
俺の声に、びしょ濡れのかずが顔を上げた

嬉しそうな顔をしたかずは急いで駆け寄ってくると、そのままの勢いで飛び付いてくる

「あ、こらっ」
抱き着かれて俺の服まで濡れた

「寒いーっ」
しがみつくかずの体は冷たくて、唇も青くなっている

だから体を離すわけにも行かなくて、少しでも暖まれるようにしっかり抱いてアパートに向かった

「だから傘はいつも持っとけって」
「ごめんなさい」

間髪いれずに謝るかず
さすがに今日のは懲りたらしい

「LINE分からなかった?」
「慌てちゃって見てない…」

仕方ないか
あの降りようじゃ、慌てるよね




心配した通り
かずはやっぱり夜から熱を出した


だけどこんな風に過ごすのも
また幸せで

熱で苦しいのは可哀想だけど、傍についてやれる自分が嬉しい


どんな時でも、俺はお前の傍にいたい

大好きだよ、かず


End

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