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今日も明日も

第41章 再録・短編



今が本当に現実かも不安になった

この触れた手が、また歪んだらって思ったら怖くなった

「にのぉ…っ」

起き上がって、にのをきつく抱き締める

暖かいぬくもり

くっついた胸から伝わる鼓動


「何…変だよ?相葉さん…」

「いいから…」

「は?」

「もうちょいこのまま…」

夢だって分かったのに
今こそ現実だって分かったのに

あの歪む瞬間、崩れ落ちる瞬間が頭から離れない


「ばーか…」

にのの手が背中に回って
子どもをあやすみたいにトントンと軽く叩く


それが気持ち良くて


たまにはにのに甘えるのも悪くない、なんて
ちょっと思って

俺はにのの胸に体を預けたまま、またとろとろと意識が危うくなってきた


そしてまた、聞こえた

"ハヤク、キテヨ…"


にのであってにのじゃない
また、歪んだ世界に引き摺り込まれるのを

俺はただ、抗えずに身を任せていった



どっちが夢?
どっちが本当?

もう分からない

ねぇ?

にの、どっち?


End

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