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今日も明日も

第43章 やさしいキスをして


“ちゃんとあったまって“ と体を押し戻され、湯船に沈まされる

沈んですぐに、相葉さんは先に上がってしまって

取り残された俺も後を追うように風呂から出て

脱衣場の引き戸を開けた途端


「わっぷ…っ」
バスタオルを頭から被されてしまった

有無を言わさずガシガシと全身を拭いていく相葉さん

「すぐ服着て、髪の毛乾かすから」
俺の意思なんてのは全くの無視

だけどそれだって俺を思っての事


それなのに、抱く事はしないんだ
…してくれないんだ

俺がいいよって言ってるのに



「ほら、座って」
無理矢理座らされて
いきなりドライヤー当てられて


こうなればもう、どうでも良くなった

髪を乾かす相葉さんに身を任せて目を閉じる

優しく俺の髪に触れる優しい指
風に乱れたそれを直す仕草


相葉さんが今、何もしないのは
何か考えてるからで

だけどそれは俺にマイナスな事じゃなくて

だったらさ…シなくて良いから


「抱っこしてよ…」
その声は、自分の意に反して
少しだけ震えていた

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