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今日も明日も

第44章 恋空模様



恐る恐る顔を上げてみれば

指が止まったまま、怯えたような…驚いたような顔でこっちを見てる


あれ?

こいつ…確か同じクラスじゃない?
存在感薄くて、いるかいないかも分からないような奴だけど

さすがにこのクラスになって2ヶ月も立てば顔くらいは分かる


「あ、ごめん!驚かすつもりじゃなかったんだ」

そう言って近付いたら、何故かビクッと体を揺らした


え、なんで?
俺、怖がらせる事してないよね?


「えっと…、同じクラスでしょ?」
その問いかけには、小さく頷いた


だけど名前までは分からなくて

聞けば早いんだけど、2ヶ月も同じ教室にいて “知りません“ ってのも気が引ける

…どうしようかな、と再びそいつの顔を見たら

なんつーか、同じ男なのに
何だか儚く見えて、不覚にも “可愛い“ と思ってしまった俺がいた



「相葉くん…だよね」

ほんの少しだけ、笑ってくれたけど

怯えてるように見えるのは何でだろう
訊ねる声も、心許ない感じだし


「あ、うん、えーと…」

「知らないでしょ。…だって俺、教室では存在感ないから」

…何て返して良いか分からなくなった

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