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だってここで

“そうだね“ なんて言えるわけないし

“だから教えてよ“ なんてのも…
こいつの言う、「存在感ないから」を肯定するだけ



「ねぇ、いつも弾いてるよね」

仕方ないから無難なところで、関係なくはない話題を振ってみた



「あ…うん、…知ってたんだ」

「いつも同じ曲弾いてるでしょ？
…俺、覚えちゃった」

何の悪気もなく、これに続けて “誰の曲？“ って
…聞いてもどうせ分かんないけど

話を広げるつもりだったのに



「…これしか弾けないから」

悲しそうに言われたら、益々俺はどうして良いか分からなくなった

だけど

「これしか、ってさ、…それじゃあなんも弾けない俺はどうなんの

こんな綺麗な曲、弾けるって凄いと思うよ？」

単純に、感じた事を伝えたら

「え…」

驚いた顔するとか、…なんか、面白い奴だな

「ね、もっかい弾いてくれない？」

「相葉くん？」

「聞きたいな、最初からちゃんと」

「…見られてると、弾けるか分かんないけど」

そう言って、鍵盤に視線を移した瞳が
俺を見ていた時の怯えたものから、凄く柔らかいものに変わっていった