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今日も明日も

第49章 春が近いから


微動だにせず、驚く俺を見る相葉さんが何を考えてるか全く読めない

怒ってるような、…それでいて泣きそうで
でも魂が抜けたようにも見えて



「あい、ば…さん…?」
「……」

相葉さんはやっぱり何も言わなくて

だけどここで帰っちゃダメだし
演じるって決めたんだ

相葉さんに見えないように、ギュッと拳を握ってから


「ねぇ、俺腹減った。何か食べるのある?」
にっこりと笑顔を作って、目の前の相葉さんの横をすり抜けた


「確かカップラーメンあったよね」

“相葉さんは?食べない?“ そう言って、キッチンに向かいながら聞こえるように少し大きい声を出す


大丈夫
声は震えてない

ちゃんと明るく演じられてる


ガサガサと相葉さんちのキッチンを “今まで通り“ に物色して

1週間前に一緒に買ったそれを見つけ出した

やかんに水を入れて火に掛ける


後ろには、相葉さんの気配
…良かった、来てくれた



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