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今日も明日も

第50章 単純同士の方程式


もう嫌だ

別れる気はないけど、今は傍にいたくない

青になると同時にアクセルを吹かし、車体がガクンと揺れてそのままスピードを上げていった

さっきまでとは違い、車の数もまばらになっているから
いけないとは思いつつ、2車線を何度も跨いで前を走る車を抜いていく

「おい、にの!危ないから止めろって」

さすがに荒い運転に、相葉さんが直に俺に視線を移し
シフトレバーに置いてる俺の左手を掴んだ

「うるせぇよ」
噛みしめた唇を解いた事で、耐えていた涙が滲んでくる

さすがに視界が歪むと運転に危険が増す事くらい分かってるから

仕方なく左によせてハザードを炊いて車を停車させた


車が止まった事で、相葉さんが短く溜め息を吐いた

「…何やってんだよ」
掴んだ左手を優しく擦る

「……っ」
今何か言葉を出したらバカみたいに声が震えそうで、何も言えない


「…俺の、せい?」

当たり前だろ
他に誰がいるんだよ

何言ってんの?


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