今日も明日も
第50章 単純同士の方程式
“何イラついてるんだ“ と聞いて置きながら返事なんて期待してないのが丸分かりな態度に腹が立つ
スピードを上げても引っ掛かってしまう信号にまた舌打ちが漏れた
ここの交差点は赤に引っ掛かるとやたら長いんだ
1分でも早く帰りたいのに本当今日はろくな事にならない
待つ時間を持て余して、そっぽを向いてる相葉さんにチラリと目を向けて
「…っ」
ガラス越しの相葉さんと目が合ってしまい、思わず息を飲んだ
その目は、今向けられたものじゃない
きっと…いや、間違いなくずっと
ガラスに映る俺を見ていた目だった
だって俺と目が合っても微動だにしない
まるで射るような視線は、俺をしっかりと捉えている
だったらさっき
俺が泣きたくなるのを我慢して唇を噛みしめたのも見ていた筈だ
それなのに、優しい言葉1つも掛けてくれないのか
掛けられた処で素直に応じないのは俺だけど、何か一言でも言ってくれてたら
少しはこの空気も変わったかも知れないのに