今日も明日も
第50章 単純同士の方程式
「やだ。もうしない」
急に恥ずかしくなって、相葉さんから離れようと右手を突っ張るけど
相葉さんのバカ力がそれを許してくれなくて、更に引き寄せられてしまう
「痛いってば」
いくらベンチシートでも、捻った状態なんだから体が痛い
それなのに離そうしない相葉さんは更に左手で俺を抱き締める
体の間に挟まれた俺の左手だって、相葉さんの胸をかなり圧迫してるから
相葉さんだって痛いはずなのに
「とりあえずここ道路だからさ、離してって」
“帰ったら好きにしていいから“
こう言ったらパッと手を離す辺り
…相葉さんもやっぱり単純
「早く帰ろ!」
そわそわを隠そうともしないで、相葉さんが俺を急かす
「わーかったって」
レバーをPからDに変えて、車が来ないのを確認してブレーキから足を離す
軽くアクセルを踏んで、車が流れに乗った所で
再び左手の上に相葉さんの右手が重なった
「これはいいでしょ?」
「…勝手にして」
耳が赤いのは隠せないから、顔は前を向いたまま