今日も明日も
第50章 単純同士の方程式
相葉さんなら、俺の性格良く分かってるじゃない
思ってる事と反対の事を言う「天の邪鬼」だって事をさ
「ばーか」
シートベルトを外して
助手席に座る相葉さんの方に体を寄せて
掴まれてない右手で頭を引き寄せる
ちょっと無理な態勢だから、少しだけ
軽いリップ音と共に触れるだけの唇
ふふ
相葉さん、驚いた顔してる
そうだよね
俺からこんな事したのも、初めてだしね
本当はさ
俺だってあなたに負けないくらい単純なんだ
真意を見るよりも先に
目の前の事に一喜一憂しちゃってんだよ
ただそれを、あなたみたいに素直に見せられないだけで
もしかしたら嵐の中でだって、実は俺が一番単純かも知れない
だって現に今だって
あんなにイライラして、無茶な運転までしてたくせに
相葉さんの言葉でもう、胸ん中嬉しくて仕方ないんだよ?
怒ってた気持ちが、どこかに飛んでったんだよ?
「にの、お願い」
相葉さんがくしゃっと笑う
「…なによ」
「チュー、もう一回して」