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今日も明日も

第10章 やきもち 2nd

…俺がポチのごはん用の皿を持てば
「早くしてよ」と急かすようにお尻を鼻で突っつく。

おかしくない?

同じように暮らしてるのに、どうしてにのには従順なわけ?


「ねぇ、にのー…」

「んー?」

ベッドの上。

にのは腹這いになってゲームに夢中。
俺は隣で仰向けになって、両手を頭の下で組んでいる。

「何だか俺、ポチに嫌われてる?」

「嫌ってはいないでしょ」

こちらを見ることなく、事も無げに答えた。

「むしろ、仲良いと思うけど」

意外な一言。

そりゃ、そうなら凄く嬉しい事だけど…
遊び相手をねだる時はにのよりも俺だけど…

嫌われてる、も違うか。

一緒に寝る事もある。

でもにのの横にくっつこうとすると、真ん中に割り込んでくる。

うーん…

悩み始めたら
にのが、パタッとゲーム機を閉じた。

「俺、最初に言ったじゃん」

「え?」

「可愛がるだけじゃダメだって」

うん。確かににのはポチに対して最初から厳しい時はかなり厳しかった。

きゅーきゅー悲しそうに鳴くポチが可哀想で、つい庇ってた事はある。

でも、それは人間の子供もそうじゃない?

厳しく怒るおかあさんには、逃げ道になるおとうさん。

あ、にのがおかあさん?
で、俺がおとうさん…

俺たちってば夫婦だー❤❤

脱線して思わずニヤニヤする俺を、にのが冷たい視線
を送ってきた。

「あ、ごめん」

素直に謝っておく。

はぁっ!と呆れたため息をついたにのは、くるりと俺の方に体を向けた。

「だからさー…」








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