今日も明日も
第53章 恋空模様 2nd
「わーっ!待って待って待ってっ!!」
周囲の目なんかお構い無しに、ホームに続く階段を駆け降りてくる制服姿
それをホームの下から眺めるのは俺のいつもの風景
何度言っても、乗り遅れギリギリにしか現れない彼は
多分毎日の事だからちょっとした有名人になりつつある
声が大きいのもあるけど、長身でカッコいい彼はその見た目だけでも目立つからだ
「おはよう、相葉くん」
いつものように、早く着いた俺は階段下にあるベンチで彼を待ってるんだけど
「おはよっ!」
息急ききって駆け降りた彼が、俺を見た途端に見せる笑顔が
毎日見ていても幸せな気分にさせてくれる
ベンチの横に来たのと同時に
立ち上がって隣に並ぶと
つい、赤くなってしまう顔は仕方ない
だって
…俺は相葉くんが好きなんだ
誰ひとり、気にも留めなかったピアノに気付いたのは彼だけで
それしか弾けない俺をバカにすることもなく
しかも “聴きたい“ なんて言ってくれたのも彼だけだった
同じ曲ばかりで飽きないのかな?と何度も思ったけど、相葉くんが “これがいい“ って言ってくれたんだ