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今日も明日も

第53章 恋空模様 2nd


下を向いてしまった俺の肩に先生の大きな手が触れた

「好きになるのに、理由がいるか?」
「え…?」

「お前は、性別とか、見た目だけで好きか嫌いか決めんのか?」

「いえ…」

「じゃあいいじゃねぇか!どーんと当たってこい!」

普段あまり笑わない櫻井先生が、嬉しそうに笑った

「いつも壁を作ってたお前が好きになるなんてなぁ、…相葉ってばやるなあ」

「え、あ、せ、先生?」

「相葉だろ?好きなのって。…違うの?」

この話の流れと、今までの俺を見れば一目瞭然だけど
こうもあっさり言われるとやっぱり恥ずかしいと言うかいたたまれなくなる

言葉に出来なくて、頷く事しか出来ない俺を見る先生の目はとても優しかった


「せっかくのその気持ち、伝えろよ?…相葉ならまずお前を傷付けたりはしないから」

“青春だねぇ“ なんて呟きながら、先生は教室の鍵をピアノの上に置くと

「今日は17時に完全下校だから」

とだけ言って、職員室に戻って行った




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