今日も明日も
第53章 恋空模様 2nd
ピアノは好き
1人でも好きに弾けるから
自分の気持ちのままに答えてくれるから
最近…?
最近は相葉くんが一緒にいる
その中で弾くのは、照れ臭いけど楽しそうに聞いてる顔を見ると嬉しくなる
ピアノの音も、何だか弾んでいるような気さえする
「…今のが…楽しい、です」
「そうだろ?…だって、顔が全然違う」
櫻井先生が、ぽん、と頭を手を置いた
「1人でここで弾いてる時より、断然良い顔してるよお前」
「あの……」
先生の話したい事は分かる
でも、さっき先生は “恋患い“ って言ってた
「ん?」
ピアノの先の窓から外を見ながら、返事だけを寄越す先生
「…気持ち、悪いと思わないんですか?」
小さくなってしまった声だけど、すぐに先生が振り返る
「なにが?」
座ったままの俺の隣に戻った先生が少しだけ首を傾げた
「だって…俺も相葉くんも男だし…そんなの、おかしいじゃないですか」
何故か、鼻の奥が痛くなってきた
泣きたい訳じゃないのに
気を抜いたら涙が溢れそうになる