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今日も明日も

第54章 Perfect Life


首が痛くならないかと心配になるくらい、ライトアップされた高い位置の桜を食い入るように見つめるかず

元々潤みがちの瞳にライトが反射して
かずの目がキラキラと光る

桜だけに夢中になれたかずの表情も、さっきまでのうんざり感は姿を消して
その花の美しさにうっとりしているようだ

人波を気にしながらかずを誘導しつつ、合間を見て自分も桜を…と思うけど

どうしても俺の視線はかずで止まってしまって

…メインの筈の桜は目の端で捉える程度


やっぱ俺はかずを見ていたい

いつもは “あんまり見るな“ って怒られるから

今こうしてかずを見ていられるのは、ここに来て良かったのかもしれない


一緒に同じものを見たいと思うのは本当

だけどやっぱり

それ以上に俺はかずを見ていたいんだ





花見客が少なくなった辺りで、かずを驚かせないように注意して立ち止まる

「…もう、人少ないからさ。手離して大丈夫だよ」

…本当は離して欲しくないけど

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