今日も明日も
第54章 Perfect Life
照れ屋なかずには、言わなきゃ後が大変になるのは分かってる
「相葉さん?」
きょとんと俺を見る顔が可愛い
「もう、ぶつかる事もないからね」
「……ぃょ」
「え?」
「…このままでいい」
掴んだ腕はそのままで、赤くなってそっぽを向いたかずの可愛すぎる態度に俺の顔から締まりが消えた
「あそこ、座ろっか」
たまたま空いたベンチを見つけ、そこにかずを連れて行く
そして座らせてから “ちょっと待っててね“ と少し離れた所に見えた露店へと走った
厚紙で出来たトレイに、熱燗2つと味噌田楽
戻った俺の手に乗ってるそれに気付いたかずが、嬉しそうに笑った
「日本人、って感じ」
「花見って何故かおでんに惹かれない?」
「あー、なんか分かる」
トレイを真ん中に置いて、紙コップに入ったお酒を軽く合わせて
まだ熱いそれを少し口に含むと
「うまいなー…っ」
どちらからともなく声に出す
そして目が合って、お互いで笑って
やっと落ち着いた時間が訪れた